霞柱・時透無一郎（ときとうむいちろう）は柱の中でも最年少の十四歳です。
しかしながら刀を握ってわずか二ヶ月で柱になったという孤高の天才剣士。
記憶障害を患っており、経験したこともすぐに忘れてしまうだけでなく、日常生活でも相手の気持ちを斟酌（しんしゃく）しない物言いになかなかコミュニケーションが取れず、刀鍛冶の里でもさまざまな衝突を起こしてしまいます。
そんな無一郎は、なぜ天才剣士としての才能を開花させることができたのでしょうか？
彼の過去について考察していきたいと思います。
鬼滅の霞柱・無一郎は、十歳で両親を失くし、兄と二人で生活！？
無一郎には父と母、そして双子の兄の有一郎がおり四人ぐらしでした。
父は杣人（そまびと）、つまり木こりをしており、無一郎も兄と共に父の手伝いをしていました。
父の死
無一郎たちが十歳の時に母が風邪をこじらせ、肺炎になってしまいます。
寝込んでいる母に薬草を煎じて飲ませようと父は山に入るのですが、なんと父は崖から落ちて落命してしまうのでした。
母の死
父の死から間も無く、母の病は回復することなく、そのまま命を落としてしまったのです。
幼い兄弟を残して母もさぞや無念だったことでしょう。
わずか十歳の兄弟が二人で生きていかなくてはいけなくなってしまいました。
兄との生活
無一郎は優しい性格で、しかも父親が常々口にしていた「誰かの為にしてあげたことは周りまわって自分の為になる」という教えを守っていました。
しかし有一郎の性格は非常に冷淡でとげとげしいものでした。
有一郎「誰かの為に何かをしてあげたところでろくなことにはならない」
と言い、母親の為に山に入った父親を罵（ののし）ることもありました。
無一郎は激しく否定しますが、有一郎は見解を改めることはありませんでした。
無一郎の優しさは自己犠牲の精神を肯定し、利他の心を芽生えさせますが、有一郎の現実的な考えは利己主義的な考えを芽生えさせたような気がしますね。
始まりの呼吸の子孫
有一郎は優しい無一郎に対しいつも冷たく厳しい言葉で突き放します。
そんなこともあり、兄との生活に息苦しさを感じていた無一郎でしたが、そんな中お館様こと産屋敷耀哉（うぶやしきかがや）の妻であるあまねが二人を訪ねてきました。
そして二人こそ始まりの呼吸を編み出した剣士の末裔（まつえい）であり、二人も鬼と戦うために隊に入るべく促されたのでした。
関心を示す無一郎だが、有一郎は猜疑心（さいぎしん）から心無い暴言をはいてあまねを追い返してしまいます。
再度訪問したあまねに対しても水をかけて追い払う有一郎。
この有一郎の態度を無一郎は許すことができず、激しく衝突します。
しかし、この時が生涯最後の兄弟喧嘩になりました。
鬼が人生を狂わせる
ある夏の夜、戸をあけて寝ていると、家の中に鬼が闖入（ちんにゅう）し、有一郎に襲い掛かりました。
重傷を負った有一郎に無一郎は駆け寄ります。
すると鬼は嘲笑うようにこんな言葉を投げかけるのです。
鬼「いてもいなくても変わらないようなつまらない命だ」
その言葉を聞いて無一郎は怒りに震え、挙句のはてに陽の光で鬼を焼滅させてしまいました。
兄の最期の言葉
有一郎に駆け寄る無一郎ですが、有一郎は深手をおい虫の息の状態でした。
そんな中、有一郎はうわごとのようにこう言い残しました。
有一郎「…神様 仏…様…どうか どうか…弟だけは…助けてください…弟は…俺と…違う…心の優しい…子です…人の…役に…立ちたいと…いうのを…俺が…邪魔した…」
あまねから直々の鬼殺隊加入の誘いを頑なに拒みつづけ、非情な言動が目立っていましたが、最期の言葉が自分よりも弟の無事を願う優しさを発露させるのでした。
それまでのきつい言動はただ弟が危険な目に遭わないようにするため、有一郎の精一杯の心配りだったのかもしれないですね。
記憶の喪失
有一郎を看取った無一郎自身も深手を負っており、とても危険な状態でした。
そこに訪ねてきたのがあまねでした。
助けられた無一郎は産屋敷家で療養します。
しかしその時、すでに無一郎は記憶を失っていたのでした。
鬼滅一の天才無一郎の過去と天性の素質をもつ剣士爆誕！
無一郎は外傷に加え自分の身に起こった不幸を受け止めきれず、記憶を無くしてしまったということもあるのではないかとなかったと思われます。
過去の記憶を失くしただけではなく、新しいことを記憶できない記憶障害も併発（へいはつ）してしまっていました。
記憶を無くした天才剣士の誕生
以前の優しい人格とは全くの別人のような無一郎ですが、さすが始まりの呼吸の直系の子孫だけあって、入隊した後も血のにじむような稽古に耐え、刀を握って二ヶ月で柱になるという脅威的な進歩を見せます。
壮絶な過去体験を持っている登場人物は他にもいますが、それによって記憶喪失と記憶障害というハンデをおっている人物は盲目の悲鳴嶼行冥（ひめじまぎょうめい）と無一郎だけです。
しかし、視覚に障害のある行冥は柱の中でも最強と言われ、記憶に障害のある無一郎は天才剣士と謳われています。
困難を克服してきた人間の本質的な強さがキャラクター設定の中にも見られ、鬼滅人気の秘訣があるのかもしれないですね。
【鬼滅】無一郎、壮絶な過去のまとめ
幼い頃に両親を亡くし、双子の兄とたった二人の生活の中で知った始まりの呼吸の剣士の末裔であるという事実。
しかし、いかに双子であっても、その事実に対する反応は両極端でした。
そこに鬼によって人生を狂わされ、自らの才能を開花させる時透無一郎ですが、武道の世界でも、経済的に成功している人でも、達人と言われる人には、絶体絶命のピンチから生還した経験を持つ者は多いです。
鬼との死闘で記憶を失いましたが、無一郎は秘められていた才能が開花したのかもしれませんね。
そして刀鍛冶の里編ではついに記憶を取り戻すのです。
無一郎の活躍からも目が離せないですね。
今回も最後までお読みくださりありがとうございました。
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