『鬼滅』と『銀魂』は 似てる!パクリはジャンプの伝統?

『鬼滅』と『銀魂』って似てるという印象を持たれる方も多いと思います。

共に近代史上を舞台にしているだけにとても親和性が強い作品ですよね。

『銀魂』といえば、空知英秋(そらち ひであき)先生の、とにかく使えるものは何でも使ってパロディーを極めるといった感じの作風ですが、泣かせるところはきっちり泣かせて感動を呼び起こす人気の作品です。

果たして『鬼滅』『銀魂』を比較し、パクっているかどうかを検証してみましょう。

鬼滅と銀魂は 似てるのは当然と言われる理由は?

確かに言われてみると、無限列車編(鬼滅)と真選組動乱篇(銀魂)遊郭編(鬼滅)と吉原炎上篇(鬼滅)鬼滅学園物語(鬼滅)と3年Z組銀八先生(銀魂)などなど、時代性だけではなく、内容も微妙に寄ってますよね。

ギャグをぶち込んでくる:鬼滅の刃と銀魂との比較

『銀魂』最終回の号で、『鬼滅』の作書の吾峠呼世晴さんは作者の空知英秋先生への労いの言葉と共に「ジャンプに漫画を送るきっかけは銀魂でした」というメッセージを送っております。

このように、公に『銀魂』への愛着を語っており、ジャンプ新人賞への投稿を始めるきっかけになったといった背景から見ても、吾峠先生の作風には『銀魂』の影響が見て取れます。

特に注目すべきは、吾峠先生が『鬼滅の刃』に組み込むギャグの使い方です。

ギャグ担当キャラの存在

たとえば「刀鍛冶の里編」では、シリアスなストーリー展開の中にも、とりわけ鋼鐡塚(はがねづか)さん登場シーン、村田さんや後藤さん、及び、恋柱・甘露寺蜜璃(かんろじみつり)登場シーンには随所にギャグが挿入され、そのバランスが『銀魂』のそれを彷彿とさせます。

『鬼滅の刃』におけるギャグの挿入は、時に唐突に感じられることもある一方で、そのギャグが重苦しい雰囲気を和らげる役割も果たしていますが、一方、『銀魂』はギャグとシリアスの間の境界がはっきりしており、その使い分けが作品全体のバランスを保っています。

ギャグについては声優の力量次第?

両作品におけるこのギャグの使い方の違いは、読者や視聴者の間で賛否が分かれる部分ではありますが、それぞれの作品の個性とも言えるでしょう。

しかしながら、こうしたギャグの挿入はアニメ化の際には声優の表現力を試すことにもなります。

ギャグとシリアスの切り替えが求められる場面で、どのように声優がそれを表現するかは、作品の魅力を引き立てる大切な要素と言えるでしょう。

吾峠先生を見出したのは空知先生の弟子?

ちなみに、ジャンプ新人賞に投稿し始めた吾峠先生の作品に注目したのが、空知先生の弟子だった『SKET DANCE』の作者篠原健太先生だったそうです。

吾峠先生の作風に空知先生へのオマージュと、きらりと光何かを感じとったのかもしれないですね。

鬼滅も銀魂も当初の人気の無さが似てる!?

『鬼滅』も『銀魂』もジャンプ史上に残る名作だと思うのですが、そもそも連載が始まったばかりはどうだったのでしょうか?

『銀魂』の場合

二〇〇四年から始まった『銀魂』は、人気が出るまで10週かかったそうです。

当時の2チェンネルでも連載が始まってすぐに「打ち切り候補」に名前が上がるくらいの酷評が続いており、ジャンプの人気投票もかなり低評価だったそうです。

銀魂のライバルたち

『銀魂』連載当初はライバル作品が強く、『ワンピース』、『NARUTO-ナルト-』、『BLEACH』、『テニスの王子様』、『いちご100%』、『遊☆戯☆王』……。さらに、『DEATH NOTE』の一週遅れで連載をスタートさせているという、まさにジャンプ黄金期でした。

一気に人気をさらったのがあの話題作

『銀魂』とは対照的なのが、前週からスタートした『デスノート』で、連載開始からロケットスタートで話題を一気に掻っさらっていった感じだったとか。

そんなライバルもいる中で空知先生自身も「よく生き残れたと思う」と後に語っているほど『銀魂』はびりっけつが続いていたそうなのですが、第17訓「酔ってなくても酔ったふりして上司のヅラ取れ」いわゆる伝説の『花見回』で一気に人気が上昇。

その後瞬く間にブレイクを果たし、気がついたらジャンプ史上に残る名作の一つに数えられていたのでした。

『鬼滅』の場合

二〇一六年二月号から連載がスタートした『鬼滅』も連載初号は人気を博したのですが、回を追うごとに順位を落とし、二話の四位から三週めからは十三位に転落。

翌週は九位に持ち直したものの、五話から十四位六話十六位、七話十五位と言った感じで十二話までは十三位〜十六位をずっと下位を低空飛行し、「このままでは打ち切りになってしまうかも」とファンはさぞヤキモキしたことでしょう。

「奇しくも『銀魂』と同じ底辺からのスタートだった」ということで、『鬼滅』も図らずも似たよう状況からのスタートということですが、では鬼滅は何がきっかけで人気が出たのでしょうか?

ラスボス登場で急浮上

それまで底辺をさまよっていた鬼滅ですが、十三話では突然、八位に浮上しました。

十三話といえば、鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)と炭治郎が浅草で遭遇したお話でした。

鬼のラスボスが登場することによって、物語がグッと面白くなっていき、注目が集まり出してきたものと思われ、十四話では六位に浮上、そこからぐいぐい順位を上げてきたのでした。

鬼滅のライバルたち

二〇一六年といえば『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の連載が終了した年ですが、ライバルに『HUNTER× HUNTER 』『ハイキュー』や『僕のヒーローアカデミア』、『暗殺教室』少し遅れて『約束のネバーランド』が連載開始したという強豪ぞろいです。

そんな中上位に食い込んでいっただけでもすごいですが、やがて社会現象を巻き起こす漫画になるとは………当初は誰も予想していなかったでしょうね。

映画『鬼滅』の快進撃を『銀魂』が止めたのは、パクる戦略?

二〇二〇年の秋に劇場公開された『鬼滅の刃 無限列車編』は邦画史上ナンバーワンヒットを記録しし、12週連続一位の独占状態でしたが、無限列車編の快進撃を止めたのが『銀魂〜ザ・ファイナル〜』でした。

しかし、そんな快挙が報じられる裏では、『鬼滅』と『銀魂』ファンの間で、熱狂的に支持された企画があったのです。

あり得ない便乗商法は『銀魂』だからこそ!?

当時話題になったのが、『銀魂』作者の空知英秋さんが描き下ろした<炭治郎&柱イラストカード>が第一週目の入場者にプレゼントされるというニュースでした。

この掟破りの戦略には誰もが耳を疑がいました。

空知さんが真面目に描きおろした柱たちにファン熱狂

『銀魂』といえば、人気作や時事ネタまでもパロディーとして取り込んでイジるという作風でも有名ですが、大胆かつ商売上手な手法はファンのみならずさすがと言わせるだけの戦略でした。

しかも、超リアルにカッコよく鬼滅のキャラクターを描き上げられており、作品へのリスペクトを感じさせつつ、タイトルはといえば『鬼滅の刃』ならぬ『鬼魂の刃(きんたまのやいば)』となっており、笑いの要素を忘れないのもさすがと言った感じです。

集合イラストにまさかの坂田銀時が!?

とりわけ、岩柱・悲鳴嶼行冥のポジションに『銀魂』の主役の坂田銀時が鎮座しているところなどは、坂田も悲鳴嶼も同じ声優、杉田智和さんが演じているところなど本当にファンにとってはたまらない要素がふんだんに盛り込まれており、赤字で刷り込まれたキャッチコピーは、右に一行「柱(サムライ)達の最後の戦いがはじまる!」とあり、左には一行「ほぼ参加していないけど」と、ファンなら誰しもツボにハマりそうな言葉が並べられているのであります。

確かに無限列車編で鬼と戦った柱は煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)だけで、それ以外は炭治郎、善逸、伊之助のかまぼこ組の三人と禰豆子だけでした。

これには多くの来場者から「さすが」という声が沸き起こったのはいうまでもありません。

ジャンプに脈々と受け継がれるコラボ文化

少年ジャンプは伝説の『こち亀』が最終回を迎えた二〇一六年の四十二号には全ての連載作品の中のどこかしらに両さんのモチーフである繋がり眉毛を描くことで有終の美を粋に飾ったように、ジャンプは作品同士がクロスオーバーしてイジられる伝統を持っているところもあり、そこは面白さの一つになっていますね。

それだからこそ、この時の銀魂と鬼滅のコラボは、コロナで大変な中、ファンにはたまらない激アツなプレゼントになったと思います。

このようにジャンプ系列の漫画同士のコラボは時に大きな話題をよび、興行収入に多大なる貢献を秘めているのですが、『銀魂』の戦略は大御所が若手の作品に寄せてくるという前代未聞の戦略で、似ている説がよく囁かれるところも逆手に取ったような見事な戦略だったと思います。

『鬼滅』と『銀魂』両方に出演する声優が多いのも似てる要素?

前出の銀時役の杉田智和さんが悲鳴嶼行冥を演じているのはすでに述べさせていただきましたが、他にも両方に出演している声優さんは数多くいらっしゃいます。

鬼滅の柱の中に銀魂のスパイが?

二〇二一年十二月『ジャンプフェスタ2021 ONLINE』におきまして、空知先生がインタビューで

 

空知「ここだけの話、あっち(『鬼滅の刃』)の中核メンバー“柱”の中にこっちのスパイ潜り込ませてるから!」

 

と冗談を言うほど、銀魂に出演したことがある声優さんが鬼滅でも活躍されております。

同じ声優さんが出演していると、違う作品でも似ているという印象を持ってしまいますよね。

以下、表にまとめてみましたら、柱だけではない数の声優さんが両方に出演されていました。

まさに錚々たる声優さんたちがふたつの作品をクロスオーバーしておりました。

鬼滅と銀魂両方に出演する声優一覧

声優名 鬼滅の刃での役名 銀魂での役名
杉田智和 悲鳴嶼行冥(ひめじまぎょうめい) 坂田銀時(さかたぎんとき)
石田彰 猗窩座(あかざ) 桂小太郎(かつらこたろう)
鈴村健一 伊黒小芭内(いぐろ・おばない) 沖田総悟(おきたそうご)
日野聡 煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう) 神威(かむい)
子安武人 手鬼(ておに) 高杉晋助(たかすぎしんすけ)
三木眞一郎 竈門炭十郎(かまどたんじゅうろう) 坂本辰馬 渡辺篤之助
櫻井孝宏 冨岡義勇(とみおかぎゆう) 斉藤終(さいとうしまる)
釘宮理恵 銀子(ぎんこ) 神楽(かぐら)
下野紘 我妻善逸(あがつまぜんいつ) 勇二
小西克幸 宇髄天元(うずいてんげん) 末吉、天堂蒼達
河西健吾 時透無一郎(ときとうむいちろう) オタクA
関智一 不死川実弥(しなずがわさねみ) 馬薫
森川智之 産屋敷耀哉(うぶやしきかがや) 佐々木異三郎
大塚芳忠 鱗滝左近次(うろこだきさこんじ) 阿伏兎
浪川大輔 鋼鐵塚蛍(はがねづかほたる) 徳川喜喜
関俊彦 鬼舞辻無惨(きぶつじむざん) 神山五郎
佐藤利奈 産屋敷あまね 百地乱破
桑島法子 竈門葵枝 幼少期の高杉晋助
小山力也 煉獄槇寿郎(れんごくしんじゅろう) 猩覚
豊口めぐみ 煉獄瑠火(れんごくるか) うらら
山崎たくみ 天王寺松衛門 河上万斉
千葉繁 桑島慈悟郎 六転舞蔵、ぐちりやの親父
古川慎 後藤 門下生
高木渉 鎹鴉 チェリー大佐
檜山修之 鎹鴉 八留虎長男、パクヤサ、大藤、看守
てらそままさき 三郎 謎の人
白石涼子 蜘蛛の鬼〈姉〉 ビチグソ丸
伊藤かな恵 蜘蛛の鬼〈姉の姉〉 女子A
小清水亜美 蜘蛛の鬼〈母〉 御高井鞘花
植田佳奈 零余子 花子
楠大典 轆轤 隈無清蔵
諏訪部順一 響凱 GOEMON
子安武人 手鬼 高杉晋助
緑川光 お堂の鬼 南戸粋、結野晴明
新垣樽助 舌の鬼 仕置人頭
川原慶久 角の鬼 明智光秀、蓮蓬A、バルムンク=フェザリオン
鶴岡総 藤襲山の鬼 ジャブ
伊瀬茉莉也 幼少期の煉獄杏寿郎 ビチエ
井上和彦 継国縁壱(つぎくによりいち) 朧(おぼろ)
千葉進歩 近藤勲、バブルス王女、ゴリさん、長老
種崎敦美 雛鶴(ひなつる) 女子A
沢城みゆき 堕姫(だき) ブルー霊子
伊藤静 堕姫の帯 沖田総子
伊藤健太郎 切り裂き魔の鬼 佐々木鉄之助
井上喜久子 トミ 日輪
斎藤千和 鯉夏(こいなつ) 松平栗子

銀魂のヒロイン神楽ちゃん役の釘宮さんを、鬼滅では時透無一郎の鎹鴉の銀子だけで起用したり、高杉晋助役の子安武人さんが手鬼を演じておられたり、そんな一回こっきりの出演にも関わらず、豪華声優陣を湯水のごとく起用しているのも鬼滅の魅力です。

空知さんトークでは「裏切り者」発言が?

同じく、ジャンプフェスタ2021の空知さんらしいジョークがファンの間で話題になりました。

 

空知「俺の合図ひとつで杉……そいつが鬼滅の声優たちの台本にウンコしてくる手はずはもう整ってんだよ!!『銀魂』を裏切って『鬼滅』に行った鈴村(健一)、日野(聡)らには、どんぶり一杯いく!!でも石田彰は許す!どうせアイツは、鬼滅の現場でも誰にも心開かないから、ってみんなの悪口めっちゃ言ってたもんな?僕のは全部冗談すけどねー。テへッ♪」

 

いささかお下品な表現ですが、『銀魂』のぶっ飛んだ世界観を生み出す先生なればこその発言だと思います。

しかし、名前が挙がった声優さんの役と現場での様子を想像しながら空知先生の発言を聞くと、面白さも一入(ひとしお)ですね。

鬼滅と銀魂は 似てる!まとめ

社会現象を巻き起こした『鬼滅の刃』ですが、同じくジャンプで金字塔を打ち立てた『銀魂』から多大な影響を受けていたことがわかりました。

しかし、明治時代と大正時代の差はあれど同じ近代を舞台にした作品であるということに加え、

1️⃣吾峠先生がプロになる前から『銀魂』の大ファンだったこと

2️⃣鬼滅と銀魂両方に似ている声優が多いこと

3️⃣ギャグが多用されている

などからも似ている印象を受けるのだと思うのですが、そもそも吾峠先生が大きな影響を受けた『銀魂』へのリスペクトの気持ちが強く、周知の通りのオマージュだと言えるのかもしれません。

そんな銀魂の影響を前提に鬼滅をみると、多少冷たい空気が流れる鋼鐡塚さん絡みのシーンとかも愛着を感じざるを得ませんね。

刀鍛冶編も無事最終回を迎え、とても好評だったようで、柱稽古編無限城編が待ち遠しいですね。

いつか高齢者になった銀魂出演者が鬼滅にスペシャル登場してくれないかなと………。

なかなか難しいでしょうが、鬼滅の最終話の現代に引き継がれた子孫の中に紛れ込ませるなら、アリかもしれないですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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