これまで有名声優さんやレジェンド声優さんを湯水のように使う鬼滅の贅沢キャスティングは随所で話題になっていましたね。
まだまだ本格的な活躍は先ですが、いつも顔に包帯を巻き、相棒である白蛇の鏑丸（かぶらまる）を首に巻きつけている、猜疑心（さいぎしん）の塊のような薄気味悪さが際立つ柱といえば………？
個人的には鬼滅の蛇柱を演じる声優さんって、すごく演技力があってとても気になっておりました。
彼の陰キャぶりは、ワンシーンの登場にもかかわらず、私個人的に物語を効果的に盛り上げるとても重要な役割を演じていた場面がありました。
今日は蛇柱伊黒小芭内（いぐろおばない）を演じた声優さんにフォーカスしてみたいと思います。
鬼滅の蛇柱声優とは思えない二枚目人気声優！
陰にこもったキャラクター蛇柱・伊黒小芭内を演じていたのは、数々の主役を演じてきた二枚目のスペシャリスト鈴村健二さんです。
そんな鈴村さん演じる伊黒といえば話しかけづらい柱ランキング堂々二位ですが、では伊黒を演じる鈴村健二さんはどのような声優さんでしょうか？
魅力を掘り下げていきたいと思います。
二〇〇六年に放送されたアニメの主演をほぼ独占したと言われる鈴村さんはスズケンの愛称でも有名です。
以下、主な出演作品です。
機動戦士ガンダムSEED DESTINY（シン・アスカ）
多くの葛藤を抱えながらガンダムの操縦に身を捧げるシン・アスカの壊れやすい少年の心を鋭く透明感のある声で演じておられます。
そのテンポ感といい音域の広さといい、陰のある二枚目。
鈴村さんの元にはファンからの手紙が数多く届いたそうですが、一番多かったのは、
「シン・アスカが嫌い」
という内容の手紙だったとのこと。
それについて鈴村さん、シン・アスカ役の本質に立ち入った演技プランを組み立てていたようで、
- 戦いを終結させるために障害になる要素を排除することを厭（いと）わない。
- 一本気な性格が良くも悪くも対立を生み出して、価値観の合わない人間とは敵対する。
- 自分勝手に見えるところがある。
という分析がなされていたことを明かし、
「これら三つの点を踏まえた上で『嫌い』と評価されるのであれば本望」
と付け加えている一方で、
「キラやアスランと敵対するから」とか「デュランダルの味方だから」といった個人的趣向が理由の意見についてはキッパリ「シン・アスカというキャラクターの人格や人生に目を配って作品を楽しんで欲しい」と語っておられます。
なるほどファンとしては、自分の思い通りの行動をとってくれないキャラクターに対して敵意を向けたくなる気持ちもわかります。
しかし、演じる鈴村さんとしてはあくまでもキャラクターの人格にフォーカスして演じておられるので、ファンもキャラクターの人権には配慮が必要だということですね。
そういうデリケートな問題にもキッパリ意見が言える鈴村さんは立派だと思います。
銀魂（沖田総悟）
銀魂の主人公坂田銀時の「万事屋」と同じくらい熱狂的な人気を集める「真選組」一番隊長で剣の達人の沖田総悟。
甘いマスクとは裏腹で腹黒なところもギャップが感じられ、独特の江戸弁から繰り出されるドSトークも鈴村さんが演じるとファンをメロメロにさせます。
平時は仕事をサボり気味でも、有事には敵を薙（な）ぎ倒す豹変ぶりは、普段は昼行灯（ひるあんどん）呼ばわりされても、イザとなったら抜群の能力を発揮させる『忠臣蔵』の大石内蔵助（おおいしくらのすけ）に通じるところがあり、そのギャップに痺（しび）れ虜（とりこ）になるファンも多数いらっしゃる様子。
沖田総悟生誕祭の日でもある七月八日には
「総悟が大好き！」
といったコメントが乱れ飛ぶようです。
世にいうギャップ効果という心理作用がありますが、これは「ある人物の一般的に描かれてるイメージとは全く違う行動などを見た時、後者のイメージが引き立ち印象が強く残る」という効果をいいます。
不良少年が猫に餌をあげていたり、アイドルがタバコを吸っていたりすると、不良やアイドルといったイメージより、猫に餌やタバコといった後者が印象に残り、不良少年は株を上げ、アイドルは株を下げるのは自明（じめい）の理ですよね。
そういう沖田総悟のキャラクターはギャップ効果を的確に捉（とら）え、鈴村さんのクールな声が「ギャップ萌（も）え」を誘発させたものと思われます。
お見事としか言いようがありません。
その他の代表作
- 黒子のバスケ（紫原敦）
- ヒカルの碁（伊角慎一郎）
- 曇天に笑う（比良裏）
- 京騒戯画（明恵）
- 恋と選挙とチョコレート（毛利夜雲）
- Free!（御子柴百太郎）
鬼滅の蛇柱声優だけではない！鈴村さんの魅力！
幅広い役を見事に演じ切る鈴村さんは歌手としても活躍されており高い評価を得ております。
歌手としても活動
人気声優がディズニーの名曲をカバーしている『声の王子様』ではアラジンの『ホール・ニュー・ワールド』を歌っております。
かなり難しい曲に挑戦しているところを見ると、相当な歌唱力のようですね。
声優さんは声のプロだけに音楽活動でも活躍される方が多いですよね。
ちなみにこのCDは他にも水柱・冨岡義勇役を演じる櫻井孝宏さんが『星に願いを（ピノキオ）』を不死川実弥役の関智一さんが『ゴー・ザ・ディスタンス（ヘラクレス）』を歌っておられるので、鬼滅ファンとしてはぜひとも聴いてみたいと思ってます。
結婚相手も鬼滅声優
二〇一一年八月八日に舞台女優としても評価の高い声優の坂本真綾さんと結婚されました。ちなみに坂本さんは『鬼滅の刃』でも珠世（たまよ）役を演じられております。
坂本さんの上品で深みのある声は鬼でありながら善良で知的な珠世役にピッタリなので、なんとか伊黒との共演が観れないかなと個人的には思っております。
鬼滅の蛇柱の難しさこそ声優の力量が試される？
鬼滅の刃の蛇柱伊黒小芭内は蛇のようにねちっこく猜疑心の塊で嫌味たっぷりの物言いが特徴ですが、わずかなセリフしか喋らない初登場の柱合会議でも炭治郎を押さえつけ、強烈なインパクトを残してくれました。
遊郭編では戦闘が終わった後の現場に登場し、重傷を負いながらも上弦の鬼を倒した宇髄天元（うずいてんげん）に対して労（ねぎら）うどころか負傷したことを非難するような上から目線な態度で三人の妻からは大ヒンシュクでした。
おまけに激しい戦いの後の様子から、炭治郎達は当然命を落としていると思い込んで若手が育たない現状を嘆き、
伊黒「お前程度でもいないよりはマシ」
というひどい言葉を重傷の天元に容赦なく浴びせかけます。
しかし天元は明るく
宇髄「いいや、若手は育ってるぜ、確実に。お前が大嫌いな若手がな」
伊黒「（顔色を変え）おい、まさか、生き残ったのか？この戦いで………？竈門炭治郎が………？」
と驚くシーンがあります。
私はこのシーンに伊黒を登場させるところはとても秀逸（しゅういつ）だなと思っております。
なにしろ冷徹（れいてつ）で自分の本意で、心を乱さないイメージの伊黒が一瞬同様し、炭治郎が生き残ったことを本気で驚く様子を見せます。
このように冷静な伊黒が本気で驚くだけで、この戦いがどれだけ激しいものであり、そこで生き残ることがどれだけ貴重なことだったかを伊黒というキャラクターの動揺を通じてより強烈に知らしめることができました。
同時に上弦の陸の鬼を倒した炭治郎達の成長がひしひしと伝わってきて（事実、炭治郎、伊之助、善逸三人の連携による堕姫との戦いぶりは見事でした）感動も一入（ひとしお）でした。
そんな伊黒を完璧に演じきっている鈴村さんだからこそ、視聴者はほんの一瞬の動揺から壮絶な戦いの全貌を思い起こすことができるのです。
私は何度見ても伊黒が登場したこのワンシーンはとても意義があり、大好きなシーンの一つです。
【鬼滅】蛇柱の声優・鈴村健一は？まとめ
高校を卒業したら調理師になろうと思って願書まで書いたそうですが、声優学校のパンフレットを見てそちらの方が面白そうだという、割とフワッとした理由からこちらの道に進んだという鈴村さん。
所属事務所のインテンションの代表取締役を兼任されているとのことで、これからも様々な役を演じるだけでなく、後進の指導などスピリットや技術を伝承しつつ、後進を育てて行って、ますますアニメの世界を盛り上げて行っていただきたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント